不動産売却に確定測量は必要?費用面も詳しく解説!
一戸建て住宅を売却しようとするときには、 正確な土地の面積が必要です。
土地の売却時に実際の面積と、書類の面積に差異があると、
さまざまなトラブルの原因となります。
ですので、売却価格を決める場合、正確な土地の面積は必要不可欠な資料です。
それには、測量が必要となります。
ではその測量は誰に頼めばいいのか、費用はどれくらいかかるのか…
土地の売却に必要な測量の知識を解説していきます。
1.1 測量が必要な理由とは
不動産売却時に測量が必要な理由は、土地の面積を明確にするためです。
土地の面積は不動産価値を左右し、売却価格に反映されます。
例えば、ご両親の代から受け継いだ土地など、古い測量技術で測られた面積は正確でない場合もあり、
地積と呼ばれる登記簿の面積をそのまま実際の面積とすると、誤差が生まれることがあります。
そのため、隣地や道路との境界を明確にするため測量が必要というわけです。
1.2 測量が必要なケースとは?
・境界に塀やフェンスがない場合
以前実施した確定測量以降に境界の位置が変わっている可能性があります。
また、境界部分には金属や石でできた境界杭を打ち込み、それによって境界を明示していますが、
境界杭が破損したなどの状況も考えられます。
その場合は、もう一度測量をして境界杭を改めて打ち込まないと、自分の土地の範囲が視覚的に分からなくなってしまうので、
測量が必要なケースとなります。
また、地価が高い土地も誤差の影響が大きいので測量し直すケースが多いです。
2. 実測売買と公簿売買
土地の売買契約に当たっては、土地の面積にかかわる2種類の契約があります。
■公簿売買
測量は行わず、法務局に登録されている地積測量図をもとに売買価格を決定する契約です。契約の後、実測によって面積に差異が生じた場合でも、その差異に基づく金額の精算は行わない場合が多いです。
売主にとっては、測量の時間、コストがかからず契約できるメリットがあります。
山林などの広大な土地で、測量に費用がかかりすぎる場合などに一般的に行われる取引です。
■実測売買
測量によって得た面積をもとに売買価格を決定する契約です。
とりあえず、登記簿上の面積で契約を行いその後、実測によって生じた面積の差異を、あらかじめ決めておいた単価で精算する場合も実測売買と呼ばれます。
登記簿の面積(公簿)は必ずしも信頼できるものではないため、昨今では、土地取引の場合には、確定測量を行って取引されるケースが多くなっています。
3. 測量図の種類に関して
測量した後に作成する測量図には以下3種類あります。
■現状測量図
現地の土地の大きさを目印をもとに測量した測量図
■地積測量図
法務局に備えられた測量図
■確定測量図
隣接地の所有者の認証(合意)を得た図面
現状測量図と地積測量図はどちらも、隣接する所有者と境界確認を合意していない図面で、
そこが確定測量図との大きな違いです。
これらの隣接する所有者の合意がない測量図は、売買時は参考資料にしかならず正式な効力のある図面とはなりません。
後からトラブルを起こさないためにも、
不動産売却の際は確定測量図の作成がおすすめです。
4. 測量の依頼先について
土地の測量技術をもった専門職は、「測量士」と「土地家屋調査士」があります。
測量士は測量と図面作製はできますが、登記業務はできません。
同じような測量技術をもち、登記業務を行うことができる専門職が、土地家屋調査士です。
登記を目的とした測量と境界確定、調査は土地家屋調査士に依頼しましょう。
5. 測量にかかる費用に関して
売買契約に用いることができる測量の費用はおよそ次の通りです。
◆現況測量費用:35万円~45万円
◆確定測量費用:60万円~80万円
※この費用は面積が100㎡前後の土地を想定しています
なるべく費用を抑えるためには、確定測量を総じて管理してくれる優良な不動産会社に相談することが重要です。
6. 測量の流れ
①土地家屋調査士に依頼する(不動産会社で手配可能)
不動産登記にかかわる測量の専門家が土地家屋調査士です。
知り合いに土地家屋調査士が見当たらない場合は、管轄する法務局に相談すれば、紹介を受けることができます。
また不動産会社でも、測量のための土地家屋調査士を紹介してもらえますので相談してみましょう。
②資料をそろえる
依頼する土地家屋調査士が決まったら、まず手元にある資料を確認しましょう。
依頼を受けた土地家屋調査士は、法務局で登記簿、公図、地積測量図などの資料を取得します。
必要であれば役所で道路や水路といった公有地との関係において、官民境界明示と呼ばれる書類の有無など、土地境界に関係する資料の収集業務を行います。
■確定測量に必要な書類
・公図
・登記簿謄本
・共同担保目録
・地積測量図
・建物図面
③隣接地の所有者に連絡
つぎに、隣接する土地の所有者、もしくは行政の担当者に連絡をします。
そして、測量を行う旨の事前説明を行い、立ち会いなどの了承を得るという流れです。
④仮杭設置、仮測量
資料をもとにした境界を起点に、仮杭を設置し仮測量を行います。そして、隣地所有者への立ち合いの依頼を行います。
⑤境界立ち合い、境界確定
すべての隣地所有者と依頼主、土地家屋調査士立ち合いの元で、
現場で仮に設置した杭による境界点を示しながら、同意を得る作業を行います。
⑥境界杭の設置
同意を得た境界点を起点に、境界杭を設置します。
既に境界杭が打たれていて、その杭の位置で合っていればそのままにしますが、
境界杭が破損していたり、新たに設定する必要があったりする場合は、改めて境界杭を埋設します。
⑦境界確認書を作成する
関係するすべての隣地所有者に、境界点を示した測量図面に押印してもらい境界確認書を作成します。
⑧登記を申請する
出来上がった確定測量図面に境界確認書面を添付し、法務局で登記申請を行います。
まとめ
土地の正確な面積を知ることは、資産価値につながる大変重要なポイントです。
資産価値を維持し、後々のトラブルに備える意味でも、測量は土地所有者にとって大きなメリットがあると言えそうです。
まず不動産会社へ相談してみましょう。
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